修道中学6組会『第6回プチ修学旅行』を終えて その2

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 ―58年前の北九州周遊の旅―

プチ修学旅行実行委員会

 迷子になった時のお守りとして、参加者全員の携帯番号を用紙に明記して、それぞれに手渡し、さわやかな初夏の風が吹く2014年5月13日(火)午前8時に広島駅前をスタートした
 同年代でありながら、それぞれが異なる経歴を有しながら、今や悠々自適の身分で、お互いに利害関係の無い者同志、これほど気楽な会話が楽しめる仲間は他に類を見ない。クーラーボックスに用意された冷えたビールとチューハイを飲みながら、乾き物を摘まみにしゃべりまくるというブレーンストーミング。それぞれがその道を極めたオーソリティである。元大学教授、薬剤師、商社マン、電力会社の重役、自営業者というメンバーであるから話の種が尽きることが無い。これが世にいう『実学』というものである。
 高速道路を転がして、あっという間に、関門大橋の展望台に到着した。まずは一回目のトイレ休憩である。車の持ち主が『障碍者手帳』を所持しているので、高速料金はすべて半額。快適でない筈がない。04DSC_0005.jpg関門大橋を渡って、愈々九州に突入する。
 博多に着いたのは昼の12時過ぎ。博多一番の繁華街『天神』に車で乗りこんでラーメン屋を探す。近頃とみに名を馳せている『一風堂』の看板を見つけて、この店に狙いを定める。近辺に駐車場を見つけて、看板を頼りに『一風堂』を探す。さすが九州一の繁華街である。街行く女性は若く、スタイルがよく、ファッショナブルである。なぜか博多の若い女性はノート大のタブレットを手に掲げて、それを操作しながら、蝶のように人波を縫って行く。可愛い女性を選んで、『一風堂』の所在を聴く。ラ―メンは豚骨風味で細麺である。「麺はやわらか目ですか、固めですか?」と聞かれると、即座に全員「固め!」と答える。多少腹にもたれるが汁まで啜る。05DSC_0012.jpg
 満腹すると、『大濠公園』内にある『福岡市美術館』に向かう。ミロ、シャガール、黒田清輝、青木繁、坂本繁三、三岸好太郎等を所蔵しているという触れ込みであったので期待をしていたが、建物は古く、地味な感じで、期待外れであった。「名にし負う作品も、器によってその値打ちがいかに左右されるか」ということを身を持って感じた。そのなかで、もうけものは中川一政のパリの街角を描いた作品を1点目にすることができたことであった。
館を後にして、湖のように大きな『大濠公園』の畔に立ち止まって、木陰で初夏の風に吹かれながら、遥か遠いビル群を眺めて一歩も動かず。
 
 まだ夕方の宴会の部まで時間がたっぷりあるからということで、58年前に訪れた『大宰府』方面に足を伸ばすことにした。大宰府にある『九州国立博物館』が2005年10月16日に建造されているということなので、この博物館に行くことに決定した。国立博物館は東京、京都、奈良、博多と全国に4館しか存在しない稀有な博物館なのである。『九州国立博物館』は近代的な、雄大なガラス張りの、モダンな建築物で、そのスケールにはまず度肝を抜かれる。常設展示物見学は70歳以上がタダということなので、免許書の提示を要求された。この博物館は他の美術06DSC_0019.jpg系3館と相違して歴史系展示物が主である。九州を中心とした重要文化財が目白押しで、とても短時間で鑑賞できる内容ではない。持ち時間を急30分延長したが、それでも後ろ髪を引かれる思いで館を後にした。
 車で博多市内に引き返す途中で、くだんの久留米の医者から携帯が入った。
「いま、どこにおるんや? わしは今博多の駅に着いたところなんじゃが!」と伝えてきた。「わかった。今、博多に向っとる。ホテルで待っとってくれ」と言ったのはいいが、不案内で、なかなか高速に乗れない。一般道を走って、予定より随分遅れて、医者を30分待たせてしまった。
 慌てて、ホテルからタクシーで天神にある料亭『稚加榮』(ちかえい)に向かった。タクシーの運転手さんに「『稚加榮』って、どんな料亭ですか?」と聞くと、「高級料亭で、とても私なんか行けるところでありません!」と言うので、乗り合わせている者は全員ビビッてしまった。タクシーが『稚加榮』に到着するといかにも格式が高そうな料亭である。法被を着た男衆が3人ばかりすかさず走り出て来て、案内をする。もう、こうなれば当初の予算の4000円とか5000円は言っておれない。腹をくくって楽しんで飲み食いすることに決めた。
 座敷に通されると床の間があって、テーブルは螺鈿塗である。早速、2人の仲居さんがビールと据え膳で鯛と鰤とサザエの刺身と烏賊刺しのウニ和えを運び込んできた。ご当地の麻酔医は「あんたたちは今日のところは2000円ずつ払ってくれ、後はわしが持つ」と大見得を切ったので、広島から来たケチケチグループは一気に景気付いて、博多の地酒・純米清酒『寒北斗』を追加注文した。
 更に、麻酔医は「今日は珍しい人物をもう1人呼んでいる」と言う。待つことしばし、当の人物が現れた。高1、高2の同級生である元朝日新聞の編集委員が姿を現した。現役を退いている彼は顎鬚を蓄え、まるで浦島太郎のように変身していた。
 その後、更に海老と野菜の天麩羅が出てきた。会は更に盛り上がりを見せた。それから全員の記念写真を撮影して、2000円を支払って麻酔医とはそこで別れた。

07DSC_0020.jpg08DSC_0024.jpg09DSC_0046.jpg

 夜の天神の街と地下街を歩いて、地下鉄に乗って、JR博多駅に移動し、セブンイレブンで焼酎『黒霧島』900mlをワンパック買って、ホテルまでぶらぶら歩いて帰ることにした。